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[監修] 住環境コーディネーター他

花井 千赴

リノベーション・不動産・新築・エクステリアをワンストップで手掛ける
株式会社ユニテ 代表取締役社長

カビとは?どうして発生するの?カビの生態と役割を徹底解説!

カビ

梅雨になったら急に部屋の壁にカビが生えたけど、なんで急に生えるの?

常温で保存していた食パンにカビが生えたけど、カビを取れば食べれるの?

チーズなどの食べれるカビもあるけど、そもそもカビって何?

と、疑問を持ったことはありませんか?

カビには様々な種類があり、その中には人の役に立っているものもあります。

しかし、人体に悪影響のあるカビを放置していると、アレルギーを引き起こしたり、病気の原因になってしまうことも。

そんなことにならないためにも、本記事では以下についてまとめています。

・カビとは

・人に悪影響を与えるカビとは

・悪影響のあるカビを放置することで起きる問題

・カビが家に発生するのを防ぐには

この記事を読めば、カビの生態についてきちんと理解して、カビ対策の必要性がよく分かるようにますよ!

カビとは

浴室や台所、押し入れやクローゼット。家の中のありとあらゆる所に発生し、特に梅雨などの蒸し暑い季節になると急速に増えるカビ。掃除をしてもまた同じところに生えてきたり、ニオイが気になる嫌なカビですが、そもそもカビとは一体何なのでしょうか。カビの正体を知って、上手に対策をしていきましょう。

まず知っておきたいのが、カビとは、菌の仲間ということです。

カビの種類はとても多く、わかっているだけで9万7千種類以上もあると言われています。

専門的にカビは「真菌」とも呼ばれます。

私たちに最も身近なカビは「糸状菌」と言い、お餅やミカンなどの表面に発生するものが代表的です。

その他にも、これは意外に思うかもしれませんが、真菌の仲間には、パンなどの食品の発酵などに使われる「酵母」や、「きのこ」なども含まれます。

カビは「菌糸」と呼ばれる糸状のものと、「胞子」と呼ばれる球の形や棒状、らせん状などの形で増えていく2つからできています。

カビは胞子という種のような状態から、植物のように発芽します。様々な形に細胞分裂を繰り返し成長して、十分に成熟すると新しい胞子を作り空気中に放たれます。このサイクルを繰り返しているので、カビは私たちの周りの空気の中にも存在しています。一般的な住宅には、約360種ものカビが存在していると言われています。

このように、実は身近なカビですが、カビを放置して大量に胞子が飛ぶ環境にいると、体に悪影響を与えてしまいます。こまめにカビを退治していくことが大切です。

カビが発生する仕組み

カビはまず、胞子というカビの原因菌から始まります。この胞子が食品や部屋のどこかに付着すると、胞子から根っこのような糸状の菌糸と呼ばれるものを伸ばします。菌糸は枝分かれしながらどんどん成長していき、十分に成長すると、その先端からまた新しい胞子を生み出して、空気中にばら撒くようになります。

カビは、どこにでも無差別に発生するようなイメージがありますが、発生するにはある一定の条件があります。

・適度な温度がある

・チリやホコリなどの栄養素がある

・十分な湿度がある

・酸素がある

この条件を満たすと、急速に、そして大量にカビが発生します。

カビが好む環境

カビが発生しやすい環境は、「湿気があって汚れている場所」です。

具体的には、カビは温度が20℃から30℃で、湿度が60%以上の高湿度の場所を好みます。また、カビは生きているので、私たち生き物がご飯を食べなければ生きていけないのと同じように、カビも生きて、繁殖していくには栄養が必要になってきます。カビにとっての栄養は、ほこり、食べ物のカス、人間のアカなどの汚れです。

この事からも、温度が高く湿気があって汚れている場所なら、浴室やリビング、クローゼットや下駄箱など、どこにでも発生してしまいます。

その中でも特に台所や浴室は、食べカスや皮脂の汚れなどのカビの栄養がたくさんあるので、カビが繁殖します。また、寝具は湿気が溜まりやすく、体温で温められるのでカビが繁殖します。

カビと細菌の違い

カビと細菌の違いは何なのでしょうか。

実は、カビと細菌は全く別のものなのです。細菌は約40億年前から存在していたとされ、とても原始的な単細胞生物です。それに対しカビは約10億年前に現れたとされ、最近から約30億年かけて進化した様々な機能や形態をもつ様々な種類の細胞からなる多細胞生物です。

大きさも異なり、細菌は0.5〜5マイクロメートルですが、カビは2〜10マイクロメートルで、カビの方がかなり大きいのが分かります。

カビを利用した食べ物もある

カビは全て悪いものなのでしょうか。

パンやお餅などにカビが生えてしまったら、食べることができなくなってしまうので、カビは悪者に思われがちですが、カビを使って作る食べ物も多く存在しています。

・チーズ

カビを使った発酵食品として有名なのが「チーズ」です。チーズは主に青カビや白カビを使って熟成させて作ります。ちなみに青カビは抗生物質の「ペニシリン」の生産にも役立っています。

・清酒

清酒を作る時にもカビが活躍しています。清酒の原料の一つは米麹です。米麹は、米にコウジカビを生育させて作ります。このコウジカビが、米の澱粉を糖に分解し、酵母で発酵させたものがアルコールになります。

・醤油、味噌

醤油を作るときに必要な醤油麹を作る時に使われる麹菌は、ニホンコウジカビと醤油コウジカビが主に使われています。味噌も醤油と同じく、コウジカビを利用して作ります。

・鰹節

鰹節を作る時もコウジカビが使われています。

・パン、ワイン

パンやワインを作る時に使う酵母もカビの一種です。酵母が気体の二酸化炭素を発生させることでパンを膨らませ、酵母がブドウの果汁を発酵させ、ワインを作ります。

人に悪影響を与えるカビとは

ここまで紹介してきたカビは、人間がうまく利用することによって、食べ物を美味しくしたり、新しい食べ物を生み出してきました。しかし、カビの中にはその代謝産物が人間に悪影響を及ぼすものも存在します。このカビの毒性をもつ代謝産物のことを「カビ毒」と呼びます。カビ毒には多くの種類があり、毒性が強いのが特徴です。

代表的なカビ毒は、ナッツや穀物、牛乳などに発生し、発がん性がある「アフラトキシン類」と、穀類や豆類、果実などに発生し、腎臓障害、発がん性がある「オクラトキシンA」、穀類に多く発生し、嘔吐や下痢を引き起こす「トリコテセン類」など、カビ毒の種類は分かっているだけでも300種もあると言われています。

悪影響を与えるカビを放置することで起きる問題

カビを放置すると、私たちの体にはどんな影響があるのでしょうか。

家の床やお風呂場などにカビが生えているのは、肉眼で確認できるものもありますが、どのカビがカビ毒を発生させているのかを見分けることは難しいので、カビは全て退治する必要があります。

夏季などの高温多湿の環境では、カビが繁殖しやすいため、気がついたら家中のあちこちにカビが発生しているなんてことも起こります。カビを除去したつもりでも、あちこちに広がってしまったカビを完璧に取り除くのは難しく、少し経ったらまたカビが発生してしまう事も。

このような状態を長く続けてしまうと、先ほど説明した、人の体に悪影響を与えるカビ毒をもつカビがどんどん増えてしまいます。悪影響を与えるカビを放置すると、アレルギーを引き起こしたり、病気を誘発させてしまう可能性があります。

カビは肺炎の原因になる?

普通の肺炎は、肺炎球菌などの細菌が原因で起こる感染症ですが、カビが原因による肺炎は、細菌の感染による肺炎ではなく、「夏型過敏性肺炎」というアレルギー反応の一種で起こる肺炎になります。

その名前の通り、夏季に発生しやすく、高温多湿の環境で大量に繁殖したカビの胞子を反復的に体内に吸収することで起こります。

症状としては、咳や痰、頭痛、発熱、呼吸困難などがみられます。

アレルギーを引き起こすことも

カビの中でも、浴室や台所、結露が発生した壁などに多く発生する「アルテルナリア」というカビの胞子は小さいものが多く、吸い込むと気管支まで入り込み、アレルギー反応を引き起こすことがあります。症状は、鼻水、鼻づまり、くしゃみなどで、アレルギー性鼻炎や、結膜炎、皮膚炎、気管支ぜんそくなどの原因になることもあります。

屋内で過ごしている時に、アレルギー性鼻炎の様な症状が出る人は、部屋の中のカビの胞子が原因かもしれません。

カビが家に発生するのを防ぐには

家にカビが発生する原因は、25度以上の高い温度と、60%を超える高い湿度、そしてカビの栄養になる皮脂汚れやほこり、食べこぼしです。

この事からも、カビの発生を予防するには、湿度を下げる為に換気をしたり、家具の位置を調整して、風通しの良い環境を作り、こまめに掃除をすることが必要です。

具体的な方法は、カビの予防の記事も見てみてください。

まとめ

カビについて説明してきましたが、知らないことも多かったと思います。

たかがカビとあなどってはいけません。

肺炎やアレルギーなど、カビが人体に与える悪影響を知って、「カビを放置してはいけない」と、対策の必要性を感じたのではないでしょうか。

カビが繁殖しやすい環境をきちんと理解して、しっかりとカビ対策をして、カビのない快適な生活をしていきましょう。

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