Advisor

[監修] 住環境コーディネーター他

花井 千赴

リノベーション・不動産・新築・エクステリアをワンストップで手掛ける
株式会社ユニテ 代表取締役社長

ジメジメとした湿気の苦しみから解放されるために知るべき事

湿気

雨が多い梅雨の時期や秋雨の時期は、部屋が蒸し暑く過ごしづらいものですよね。

ジメジメとした湿気は本当に不快に感じます。

「湿気が多くてイライラする…」
「気づいたら家具や壁、畳にカビが…」
「なんだか体調不良が続く…」

このような問題を抱えている人も多いでしょう。
実は、湿気は放置しておくと、住宅にも住んでいる人の体調にも悪影響を及ぼすのです。

湿気を放っておくことで起きること
  • 家の中がカビだらけになる
  • 害虫が発生する土台の木材が腐り、住宅が痛む原因になる
  • 健康被害が出る


このように、湿気は不快なだけでなく、体調や住宅に悪影響を及ぼす危険な存在なのです!

そんな危険な湿気の原因は以下の通り。

湿気の原因
  • 結露
  • 雨水
  • お風呂場や洗面所、キッチンなどの水回り
  • 地面から昇ってくる湿気
  • 洗濯物の部屋干し
  • 床下の換気口から昇ってくる湿気


見て頂くと分かる通り、特別意識をしなくても日常生活で発生してしまうものなのです。
そこで今回は、嫌~な湿気の原因と、対処法を解説します!

この記事を読んで、不快な刺激を撃退し、快適な生活を送りましょう!

湿気が発生する仕組み

まず始めに、家の中で湿気が発生する仕組みについて知っておきましょう。家の中で湿気が発生する原因としては、次の6つが挙げられます。

  • 結露
  • 雨水
  • お風呂場や洗面所、キッチンなどの水回り
  • 耐震構造によって溜まる湿気
  • 地面から昇ってくる湿気
  • 洗濯ものの部屋干し
  • 床下の換気口から昇ってくる湿気

それぞれ詳しく解説します!

結露

結露は冬場によく発生します。発生する仕組みとしては、室内の暖かい空気の中に含まれる水分が窓の外の冷たい空気に冷やされて液体に戻るのです。気体を冷やした時に液体に戻る(結露になる)温度を露点と言いますが、空気が湿っていて空気中の水分が多いと露点が上がります。

そのため、室内に洗濯ものを干したり、加湿することで結露が発生しやすくなるのです。

雨水

雨水も家の中で発生する湿気の原因のひとつです。梅雨の時期や秋雨の時期など、雨が降ったりやんだりを繰り返す時期は室内も蒸し蒸ししがちです。

他にもお風呂場や洗面所、キッチンなど日常的に使用する水回りで発生する水分や、地面から昇ってくる湿気、洗濯ものを部屋干しするなども湿気の原因になります。一軒家なら床下から昇ってくる湿気もあなどれません。

床下の湿気についてはコチラの記事でも詳しく解説しています。

★内部リンク 床下湿気

お風呂場や洗面所、キッチンなどの水回り

お風呂場や洗面所など、家の中で水を使う場所も湿気の原因になります。

特にお風呂を使ってそのまま浴室のドアを開けておいたり、キッチンでお湯を沸かしたりすることも湿気の原因になるのです。

現耐震構造によって溜まる湿気

現代の住宅は特に湿気がたまりやすいと言われており、その理由は、地震が多い日本に適応するための『耐震構造』にあります

建物の耐震性能を高めるためには柱の溝にパッキンを入れて地震の衝撃を吸収する仕組みを取っている場合があります。そのため、耐震性能が高い住宅は気密性が高く湿気が溜まりやすいのです。

▲イメージ画像

耐震性能の他に、『高気密住宅』と呼ばれる気密性が高い設計の住宅も増えてきています。これは、冬場は室内の暖かさを逃さず、夏場は室内でつけているエアコンの冷房を逃さないため非常に快適に過ごすことができます。

しかし、気密性が高いということは室内に発生した湿気も出ていきにくいということです。

定期的に窓を開けたり、換気を意識しないと家の中に発生した湿気が出ていきにくいため、部屋の中に湿気が留まってしまうのです。

地面から昇ってくる湿気

地面から昇ってくる湿気もあなどれません。

家が建つ前にもともと水田だったり、沼だったりといった湿地帯を埋め立てて建てられた住宅の場合、地面から昇ってくる湿気が多くなります。

洗濯ものの部屋干し

雨が続く季節になると、外に洗濯ものを干すことができないので、家の中に干す人も多いでしょう。梅雨の時期になると良く見受けられる洗濯ものの部屋干しですが、実はこれも部屋の中の湿気の原因になります。

床下の換気口から昇ってくる湿気

一戸建てにお住まいの場合、床下の換気口から昇ってくる湿気も部屋の中の湿気の原因に。

これは案外気が付きにくく、対策が難しい部分でもあります。

湿気が多いと起こる被害

続いて、家の中で湿気が多い状態が続くことで起きる問題は次の通りです。

  • カビや害虫の原因になる
  • 体調不良の原因になる
  • 実際の温度よりも高く感じる

ある程度の湿気は感染症対策に有効なこともありますが、多すぎるとカビの原因やかえって体調不良を引き起こす可能性もあります。

湿気が多いとどうなるのか、それぞれ詳しく解説していきましょう。

カビや害虫の原因になる

結露が付着したり、湿気が多い状態が続くと、自宅の壁や床、布団、家具などにカビが生える可能性があります。カビが生えると独特の嫌な臭いの原因になったり、住んでいる人の健康状態に影響してくることも。アレルギー体質や喘息を持っている人は特に注意する必要があります。

カビが好む発生条件は湿度70~80%以上、室温20~30℃と言われており、この条件に合致する梅雨の時期などは特に注意が必要。湿気や温度以外にも換気不足や不衛生(食べ物のカスや人間の皮脂、髪の毛)が挙げられます。

キッチンに常備している食料も、梅雨の時期はいつもよりカビやすくなるので注意が必要です。

一度カビが発生すると、胞子をどんどん飛散させて着実に増殖していきます。拭いてきれいに取り除いたと思っても、根っこが残っていて再発する…という負のサイクルに陥ってしまうことも多々。そもそもカビを発生させないようにすることが大切です。

体調不良を引き起こす可能性

湿気が多いとカビや害虫が発生しなくても体調不良につながることもあります。

湿気により体内の水分を上手に排出することができず、食欲不振やだるさ、頭痛などを引き起こすのです。

他にもめまいや不快感で吐き気をもよおしたりすることも。

適度な湿度は健康に良いものですが、過剰な湿度はかえって健康に良くないのです。

実際の温度よりも高く感じる

湿気が多い環境は体感温度が高くなるので、温度が同じ状況下でも湿度が高い方が暑く感じます。更に、汗をかいてもうまく蒸発しないので、体の中に熱がこもりやすくなります。

梅雨の時期になると、真夏ほど気温が高くないのに熱中症の報道が増えるのはそのためです。

家の中にいても熱中症のリスクはあります。特に、6月くらいだとまだエアコンをつけるのは早いからとクーラーやドライ機能を使わずに過ごす家庭も多いでしょう。免疫力が落ちていたり、体調を崩していたりすると家の中にいても熱中症になることもあるので注意しましょう。

調湿剤やドライ機能を使って部屋の湿度を調節し、適切な湿度を保つ必要があります。

湿気を防いで快適に過ごす方法3選

続いて、湿気を防いで快適に過ごす方法をご紹介します。湿気を防ぐ方法は基本的に次の3つの軸で行います。

  • 換気をこまめに行う
  • 除湿剤を使う
  • 発生した湿気を拭き取る

換気で湿気を上手に散らす→除湿剤で部屋に残っている湿気を吸収→生活の中で発生した水分を拭き取り湿気にしない、この流れで湿気が部屋に溜まるのをより防ぐことができます。

また、一種類の方法に頼るよりも、抱き合わせで対策してあげると良いでしょう。

それぞれの方法を詳しく解説していきましょう。

湿気を防ぐ方法①換気をこまめに行う

部屋の換気はこまめに行うと良い湿気対策になります。

空気を部屋にまんべんなく通すコツは、空気の通り道をつくること。ただ窓を開けるのではなく、空気が抜けていく通りをイメージして窓やドアを開けておくのです。

この時、扇風機やサーキュレーターも併用するとより空気が循環するのでおすすめ

扇風機や電気代ならエアコンに比べて電気代も安いので、首振りにしてずっとつけていても気になりませんね。梅雨の時期、やむを得ず洗濯ものの部屋干しをしなければならない時も、扇風機やサーキュレーターを併用すれば乾きも早くなります。

湿気を防ぐ方法②除湿剤を使う

部屋の中の湿気には除湿剤を使うのもおすすめです。換気だけでは行き場がない湿気も、除湿剤を使えばきれいに吸い取ってくれます。

今回は、市販の除湿剤から身近なもので除湿効果のあるものまで4種類ピックアップしてみました。

  • 置き型タイプの除湿剤
  • 竹炭
  • 新聞紙
  • 重曹

それぞれの特徴は次の表の通りです。

置き型除湿剤竹炭新聞紙重曹
メリット設置が簡単体に優しい
コスパ◎(半永久的に使用可能)
手に入れやすい掃除にも使える
デメリット交換が必要導入費用が少し高めゴミがかさばる
見た目が悪い
吸湿すると固まる(混ぜる必要あり)
使用シーン換気しづらい部屋、クローゼット床下や室内靴箱玄関、室内
費用120円~/1つ500円~/1㎏180円~/1㎏600円~/1㎏
おすすめ度★★★★★★★★★★★

それぞれの調湿剤のメリットとデメリットも合わせて解説します。

置き型タイプの除湿剤

除湿剤は置き型タイプを使うと手軽です。

置き型タイプの除湿剤は箱型になっており、内部が2段に分かれています。

大体の商品は上の段にはしっかり湿気を吸い取る除湿剤が入っており、下の段に吸い取った湿気を水分に変えて溜めていく構造です。

溜まった水が目に見えてわかるので、除湿剤を取り換えるタイミングがわかりやすいのが置き型タイプの除湿剤のメリットです。しかし、ある程度使用したら取り替える必要がある点と、ゴミとしてかさばる点はデメリット。

湿度が高い富山県や千葉県、島根県、福井県では通年で除湿剤を使用する家庭も多いでしょう。そういった場合は半永久的に使用できる竹炭などに変えるとコストパフォーマンスが良いです。

木炭

木炭も湿度のコントロールにはうってつけ。湿気を吸い取るだけでなく、乾燥しているときには吸い込んだ湿気を放出して適度な湿気を保つ『調湿機能』もあるので、カバーをかけて部屋に置いたり床下に敷くことで快適なサラリとした空気を生み出してくれます。

他の除湿剤と比べて使用できる期間は半永久的、交換する必要がありません。防虫・防臭効果もあるので、嫌な臭いを吸着して清潔な空気に変えてくれるのは嬉しいポイント。

一般的に販売されている置き型の除湿剤と比べて竹炭は少々高い傾向にありますが、ずっと使えることを考えるとかえって安上がりです。面倒な買い替えもゴミ捨ても必要ありません。

木炭の中でも、特におすすめなのは『炭八』です。

炭八は年間を通して湿度が高い島根県出雲市出身の木炭メーカーが良質な木材をリサイクルして作った調湿用の木炭です。木炭表面の穴が大きめで隙間が多いため、高い吸湿力と調湿力が期待できます。

新聞紙

身近なもので除湿剤に代用できるものとして、読み終わった新聞紙も有効です。

そのまま置いておくと見栄えが悪いので、靴箱に敷いたり、表から見えない部分に置いておくと良いでしょう。余分な湿気を吸い取ってくれます。

ある程度湿気を吸い取ってくれたな、と感じたら、そのままゴミとして捨てるだけなので非常に簡単です。新聞を購読している家庭なら追加で使用すると良いでしょう。

しかし、除湿剤や竹炭ほど吸湿してくれないので、いずれかと組み合わせて使用するとベストです。

重曹

重曹も除湿剤の代わりになります。

こちらも市販の除湿剤や竹炭ほどの除湿効果はありませんが、掃除用に重曹をストックしている家庭も多いので、間に合わせで除湿剤の代用にするには良いでしょう。

深めのガラス容器に開けたり、布や不織布に包んで部屋の各所に置いておけば除湿効果を発揮してくれます。布や不織布に包んだ重曹は定期的に混ぜ、ガラス容器に開けた重曹は定期的にかき混ぜることで除湿効果を持続させることができます。

重曹にアロマオイルをたらしておけば簡易的な芳香剤にも。

除湿剤としての役割が終わった重曹については、そのまま掃除に使えば無駄がありませんね。重曹も新聞紙同様に、市販の除湿剤か竹炭と併用することで高い除湿効果を期待できます

湿気を防ぐ方法③発生した湿気を拭き取る

湿気を防ぐ方法として、お風呂を使った後はよく乾燥させることです。バスタブにお湯をはらなくても、シャワーを使用してそのまま出てくると、湿気た空気が部屋に流れ込んできます。

風呂場のカビを防ぐために乾燥目的で浴室のドアを開けたままにしている家庭も多いのではないでしょうか?これは部屋の中に湿気が充満してしまうのであまりおすすめできません。

風呂場のカビを防ぎたいのであれば、使用後のバスタオルで大まかに浴室の濡れた箇所をふきとり、ドアをしめて浴室乾燥をかけるのがおすすめです。

浴室乾燥を使用する分多少電気代が上がりますが、お風呂にカビが生えにくくなるので掃除の手間が省けます。

まとめ

湿気は雨や窓ガラスに付着した結露、お風呂やキッチン周りで出た水気や、床下の地面から昇ってくる水気など様々なことが原因で発生します。

適度な湿気はウイルス対策になったり、お肌や粘膜が潤ったりと、人体に良い影響をもたらします。しかし、湿気が多すぎる場合はかえって体調不良を招く原因に。

なんだか家の中が蒸し蒸しするな、気づいたら布団や家具にカビが生えている…、雨が続くと体調が悪くなる、などと思うことがあれば、すぐに湿気対策をすることをおすすめします。

湿気対策は①換気をこまめに行う、②除湿剤を使用する、③お風呂を使った後はよく乾燥させる、の3種類。これらを単体で行うのではなく、複数組み合わせて行うとより湿気を防ぐ効果が高いのでおすすめです。

グラニーレ編集部

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