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[監修] 住環境コーディネーター他

花井 千赴

リノベーション・不動産・新築・エクステリアをワンストップで手掛ける
株式会社ユニテ 代表取締役社長

床下湿気は木造家屋の大敵⁉建物への影響と床下の湿気を防ぐ方法

床下に炭八を敷き詰めた画像
湿気

木造家屋にとって、床下の湿気は大敵です。床下の湿気を放置しておくと、建物の腐食やカビ、害虫被害、住んでいる人の健康を脅かす原因になることも。床下の湿気が強いなと感じたら、適切に床下の湿気対策を取る必要があります。

湿気対策をする必要がある条件は以下の通りです。

  • これから一戸建てを購入する予定
  • 築年数が古い木造の一戸建てに住んでいる
  • 部屋の湿度が気になる
  • 家具や布団などにカビが生える

今回は床下の湿気が発生する仕組みを知り、建物への影響と床下の湿気を防ぐ方法をご紹介します。

床下に湿気がたまる4つの原因

フローリングの画像

床下湿気がたまる原因は4つあり、『建設前』が原因であるものと『建設後』が原因であるものの2種類に分かれます。

建築前の原因・床下に適切な空間が確保されていないため
・建築前の土地に原因があるから
・立地状況的に床下に水が溜まりやすい
・隣の家との距離が近い
・家の増築をしている
建築後の原因・自然災害(大雨、台風)
・水漏れや雨漏りが発生している

建築前の原因の特徴

床下に湿気が溜まる建築前の原因の特徴は以下の通りです

床下に湿気が溜まる建築前の原因

  • 当時の建築法によるもの
  • もともとの土地が原因のもの

ここでは、建築前の原因の特徴を解説していきます。

床下に適切な空間が確保されていない

床下に適切な空間が確保されていないと、湿気が溜まりやすくなります。床下の空間が狭くなると、その分空気が流れにくくなるので、湿気が抜けていかないのです。

現在の建築基準法では、木造家屋の場合『地面から床の上面まで45㎝以上』と決められています。

”一 床の高さは、直下の地面からその床の上面まで四十五センチメートル以上とすること。

(引用:建築基準法施工例ー第二節第二十二条(居室の床の高さ及び防湿方法))”

しかし、建築基準法が改定される1950年以前に建てられた住宅についてはこれが該当しません。今から70年前以前に建てられた住宅については床下に充分な空間が確保されておらず、空気の通りが悪い場合があります

家が建つ前の土地に原因がある

家が建つ前の土地がもともと湿地帯だったり、水田だったり、湧き水が湧いている土地だと土地自体に水気があるので、湿気が発生しやすいです。

本来であれば家を建てる前に適切な土壌改良を行いますが、何らかの事情で十分に行われていない場合は湿気が発生しやすい土地と言えます。

住んでいる住宅の前の土地がどんな場所だったのか知る方法は、主に次の2つです。

住んでいる住宅の前の土地について調べる方法

  • 図書館などで昔の地図を調べる
  • 法務局で閉鎖謄本を取る

また、都市部の場合は過去の航空写真を参照する方法もあります。

過去の航空写真をチェックする

平成12年に建築基準法が改正された際、住宅を建築する前に地盤調査を行うよう定められています。しかし、それ以前から住んでいる住宅の場合は地盤調査をされていない可能性があるので、土壌改良されていない可能性もあるのです。

立地状況的に床下に水が溜まりやすい

もともとの立地状況的に床下に水が溜まりやすい場合もあります。

例えば、周囲の住宅よりも低い位置にある場合、周囲の住宅からはけてきた水気が溜まりやすいことがあります。山の上から下に向かって水が流れていくように、住宅の敷地に流れてきた水も同じことが言えるのです。

隣の家との距離が近い

密接した住宅街に家が建っている場合、通気性が悪く湿気が溜まりやすい場合があります。なぜなら、家と家同士の距離が近いため風の通り道が少なくなるからです。家と家の間の壁にカビやコケが発生している場合には、家全体の風通しが悪い可能性も考えられます。

家の増築をしている

家の増築をしている場合にも、床下に湿気が溜まりやすい環境となっている可能性があります。例えば、増築前後の家の境目に段差ができていると、低い方にばかり雨水や湿気が集まってしまいます。増築した家に段差が多くある場合は、その付近の床下を注意してチェックしてみましょう。

建築後の原因の特徴

水漏れや雨漏りが発生している

床下の配管から水漏れが発生していたり雨漏りが起こっていたりする場合、床下に水や湿気が溜まりやすくなります。土地の条件などに問題がないのに床下に湿気が溜まる場合は、一度配管の点検などを行ってみるのがおすすめです。

自然災害が原因で床下に水がたまる

大雨や台風などの自然災害が原因で、床下に水が溜まることもあります。

一度床下に水が溜まると、なかなか乾燥せずにそのまま残ってしまうのです。特に、先に紹介した『立地状況』で周囲の土地より住宅が低い位置にある場合、更に水はけが悪くなります。

【チェックリスト】床下の湿気対策が必要な家とは?

扉とフローリングの画像

ここまで湿気のもたらす影響をお伝えしてきましたが、

実際に自分の家が床下の換気が必要な家なのかどうなのか気になっている人も多いのではないでしょうか。

床下の換気が必要な家のチェックリストをご用意しました。以下の項目を参考にしてみてください。

床下の換気が必要な家のチェックリスト

  • 周囲に住宅が密集している
  • 土地柄風通しが悪い
  • もともと水田や湿地だった
  • 床下の通気口前にものが置かれている
  • 築年数が70年以上の住宅
  • 丘や山のふもとに建てられている
  • 富山、千葉、島根、福井のいずれかに住んでいる
  • 押入れや床にカビの発生が見られる
  • 床下の通気口からカビのような悪臭を感じる
  • 庭が常に湿った状態になっている

チェックリストの項目の理由は次の表の通りです。

チェック項目備考
周囲に住宅が密集している周囲に住宅が密集していると、土地の水はけが悪くなりやすくなるため
土地柄風通しが悪い土地柄、風通しが悪いと湿気が滞留しやすいため、床下に湿気がたまりやすくなる可能性があります。
もともと水田や湿地だった水田や湿地を埋め立ててつくられた土地は埋め立てられていたとしても湿気を持ちやすい場合があります。
床下の通気口前にものが置かれている本来床下の湿気を逃がすためにある床下通気口の前にエアコンの室外機や荷物が置かれていると、空気の流れが悪くなります。
築年数が70年以上の住宅1950年に建築基準法が改定され、床下には充分な空間を確保しなければならなくなりました。しかし、それ以前に建てられた住宅に関しては床下に充分な空間が確保されていない場合があるのでチェックが必要です。
丘や山のふもとに建てられている水は上から下に向かって流れてくるので、丘や山のふもとにある住宅は流れてきた水が滞留しやすく、床下に湿気が発生しやすくなります。
富山、千葉、島根、福井のいずれかに住んでいる富山、千葉、島根、福井は通年で湿度が高い地域トップ4です。
押入れや床にカビの発生が見られる床下に溜まった湿気が原因でカビが発生している可能性があります。
床下の通気口からカビのような悪臭を感じる床下全体にカビが広がっている場合、強い悪臭を感じる可能性があります。カビ臭さを強く感じる場合には、すぐに床下の状態を確認してみましょう。
庭が常に湿った状態になっている庭の水はけが悪い=土地全体の水はけが悪い可能性も。庭の土が常に湿っている場合には注意が必要です。

この中でひとつでも当てはまったら、床下換気が必要である可能性があります。そして、床下換気ができない状況であれば別の方法で床下の湿気をとる必要があります。

床下の湿気をとる方法について、次でご紹介します。

床下湿気を放置するとどうなる?

キッチンの画像

それでは、床下の湿気を放置するとどうなってしまうのでしょうか。床下の湿気を放置すると起こりやすいトラブルは以下の通りです。

床下の湿気を放置すると起こりやすいトラブル

  • 建物自体が痛む原因になる
  • カビや害虫の原因になる
  • 健康に問題を引き起こす可能性がある

それぞれ詳しく解説していきましょう。

建物が傷む

床下の湿気を放置していると、建物が痛む原因になります。使われている木材が腐食して土台が損傷し、ひどい場合は倒壊を招くことも。湿気により土台が弱っているところに、地震が発生すればひとたまりもありません。

大切な住宅を長持ちさせるためにも、床下の湿気は特に気を付けるべきなのです。

カビや害虫の原因になる

床下の湿気が多い状態を放置すると、カビや害虫が発生する原因になります。特に、木造家屋に発生するシロアリは湿度が高い環境を好みます。そのため、床下の湿気が溜まっている状態が長くなればなるほどシロアリの思うつぼ。

また、湿気はそのまま住宅の中にまで昇ってきます。そのため、なんとなくいつも部屋の中がジメジメしたり、布団や家具がカビたりと、嫌~な問題の原因になってしまいます。

健康に問題を引き起こす可能性がある

床下に湿気が溜まっていると、その上の住空間にも影響し、室内の湿度が高くなるため健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

湿気がもたらす健康上の悪影響は以下の通りです。

湿気がもたらす健康上の悪影響

  • 湿度により発生したカビが原因でアレルギーを引き起こす可能性
  • 湿気により汗がうまく蒸発せずに熱中症を引き起こす可能性
  • 湿度が高い環境にいることでめまいや頭痛を引き起こす可能性

雨の日に低気圧で体調不良を引き起こすことは結構知られていますが、実は湿気そのものもこれらのような体調不良の原因になる可能性があるのです。

また、湿度が高く、かつ気温も高くなる梅雨の時期は室内にいても熱中症を引き起こすこともあるので注意が必要です。

床下の湿気をとる方法3選

それでは続いて、床下の湿気を取る方法をご紹介しましょう。

床下の湿気を取る方法は以下の通りです。

床下の湿気をとる方法

  • 調湿剤を使う
  • 床下換気扇を取り付ける
  • 工事をする

それぞれの方法の特徴を下記の表にまとめてみました。

 調湿剤を使う        床下換気を取り付ける工事をする
効果
費用10万円~30万円20万円~120万円※取付数と面積による90万円~150万円
難易度低※自分でもできる高※業者に依頼が必要
おすすめ度★★★★★★★★★★

3つの方法といっても、自分でできるものから、業者に依頼して取り付けてもらうものまでさまざまです。それぞれに良い点、悪い点があるので、あわせて解説していきましょう。

床下の湿気対策①調湿剤を使う

床下の湿気を取る方法として、調湿剤を使うのは有効です。3つの方法の中で最も簡単で、少々手間はかかりますが自分で行うことができます。(住宅のつくりによっては専門業者に行ってもらう必要があるので注意しましょう。)

また、費用も一番安く抑えることが可能です。

床下に使用する調湿剤の種類は以下の通りです。

床下に使用する調湿剤の種類

  • ゼオライト
  • 石灰
  • シリカゲル

それぞれの特徴を表にまとめてみました。

       ゼオライト石灰                 シリカゲル     
吸収性
効果持続期間
費用(1㎡辺り)1000円~100円~950円~1500円~
特徴安価で手に入りやすい吸湿力に劣る
調湿効果はない
体に優しい
害虫予防効果
高い吸湿力

それぞれの素材の特徴を更に知りたい場合、こちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

★内部リンク【床下 調湿剤】

この中でもおすすめは、半永久的に使える炭です。自然素材で体に優しく、コストパフォーマンスに優れています。湿気が多い時は吸い取り、反対に空気中が乾燥しているときは湿気を放出して人間にとって快適な湿度を保ってくれるのです。

4種類の素材の中でも、炭は導入に少しお金がかかります。しかし、長く使用することができるのでかえってコストパフォーマンスが良いのです。通年で湿度が高い島根県出雲市では一戸建てのうち、およそ9軒に1軒の割合でで導入されている人気の高い素材です。

【炭八が床下の湿気取りに適している理由】

良質な島根の木材を使用して作られた炭八は、もともとプロが建材用として使用していたものが一般の市場に流通してきました。もともと湿気が強い島根で、住宅を長持ちさせるために特化して開発されたので、床下の湿気取に適しているのです。炭以外の不純物を使っておらず、小さなお子様や高齢の方にも安心です。

床下の湿気対策②床下換気扇を取り付ける

床下の空気の流れを良くする方法として、床下換気扇の取り付ける方法もあります。

下記の図のように床下に複数個所床下換気扇を取り付け、床下に溜まった湿気を含む空気を外に排出します。

床下換気扇

目安として、大体30坪の家で2~4台の床下換気扇が必要です。1台あたり10万~30万円で設置することができ、月々の電気代は100円程度です。

設置については電気工事士の資格を持っている人でなければ施工することができません。そのため、設置をする場合はプロに依頼する必要があります。

床下の湿気対策③工事

床下の湿気を防ぐための工事として、防湿皮膜形成工法があります。

クリーンバリヤ工法とも呼ばれ、床下の土に木工用ボンドに似た素材を直接噴射し、『防湿皮膜』を張ることで、土から湿気が昇ってこないようにするのです。

この防湿皮膜形成工法は、湿気対策だけでなく、シロアリ対策にもなる優れもの。

かかる費用は9000円~1.5万円/㎡ほどです。建売住宅の平均面積はおおよそ30坪(100.8㎡)ほどと言われているので、単純に計算すると90万円~150万円ほどがかかってくる計算です。費用がかさむので、気軽に導入するわけにはいかないケースが多いでしょう。

また、防湿皮膜形成工法はどんな床下の土にも施工できるというものではありません。

湧き水が出ていたり、霜柱ができている土、床下の高さ低く作業員が浸入できない場合などは施工不可となります。

床下湿気の対策を行う前の注意点

リビングルームの画像

床下湿気の対策を行う前の注意点を解説します。主な注意点は以下の通りです。

床下湿気の対策を行う前の注意点

  • 床下の点検をしてから対策を取ろう
  • DIYで床下の湿気対策をしない方が良い

床下の湿気がいけないらしい→すぐに調湿剤を敷こう!ではなく、原因を突き止めてから対処することで無駄なお金と手間を掛けずに済みます。

床下の点検をしてから湿気対策を取ろう

床下の湿気対策をする前に、まずは床下がどんな状況なのか点検することをおすすめします。点検すべきポイントとしては、まず床下に問題がないかです。床下の点検項目は以下の通りです。

床下の点検項目

  • 排水管が破裂していないか
  • 床下の構造に問題がないか
  • 湿気の原因になっているものがあるか

などが重要です。

対策してなんとかなる問題もあれば、工事をしないと解決しない場合も。特に、排水管が破裂してそこから漏れている水が原因で床下に湿気が溜まっている場合などは修理の必要があるでしょう。

自分で床下を見ることが難しければ、専門業者に依頼して床下の点検をしてもらうことをおすすめします。

DIYで床下の湿気対策をしない方が良い

床下の湿気対策をDIYでご自分で行うケースがあるようです。

確かに、充分な知識をもってすればご自分でも行えるかもしれません。

しかし、床下を点検している最中にちょっとした拍子に排水管に工具をぶつけてしまったりすれば大変です。(よっぽどのことがない限り大丈夫ですが、全くないとも言えません。老朽化が進んで排水管が傷んでいると、思わぬトラブルになることもあります。)

調湿剤を置くにしても、場合によってはプロに依頼した方が良いケースもあります。

+αで部屋に調湿剤を置くと効果的

リビングルームの画像

床下の湿気対策を行うときに、+αで部屋にも調湿剤を置くと更に効果的です。

下から昇ってくる湿気を対策しても、室内にもある程度湿気が入ってくるものです。そのため、置き型の調湿剤を部屋の各所に置いておくようにしましょう。

この時、部屋に置く調湿剤なら『炭八』がおすすめです。

寝室や和室、風通りが悪い部屋、シューズボックスの中、クローゼットの中に置くのも良いでしょう。湿度を適正に保つだけでなく、消臭効果や防虫効果も期待できます。

最適な床下の湿気対策を

ソファの画像

一戸建てに住むときに、意外と盲点になるのが床下の湿気です。立地状況や後発的な災害、もともとの土地が湿気りやすいなど、様々な要因により床下の湿気が発生します。

床下の湿気を放置しておくと、建物が傷んだり、住んでいる人の健康に影響したり、カビやシロアリなどの害虫を発生させてしまう原因にもなります。

床下の湿気対策や工事についてさらに詳しく知りたい方は、「【床下湿気対策!あなたを苦しめる床下湿気を完全排除するための対策集】」もチェックしてみてください。

床下の湿気対策は①調湿剤を使う、②床下換気扇を取り付ける、③工事の3つの方法があります。それぞれの費用や効果を踏まえ、お住まいの住宅にピッタリの床下湿気対策をしてくださいね。

グラニーレ編集部

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